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事例紹介

Case

出版システム児童書出版

金の星社
老舗児童書出版社を支えるシステム
13年間利用し安定的な運用を実現

新聞記事の内容《PDF》 A4資料《PDF》

出版システム
(出版ERPシステム)
金の星社  文化通信bBB 2018/10/1 掲載)

株式会社金の星社

代表者 斎藤健司
資本金 2500万円
従業員 26人
所在地 〒111-0056
東京都台東区小島1-4-3
電 話 03-3861-1861(代表)

 児童書の出版を手掛ける金の星社は、13年ほど前に物流業務を一橋グループの出版ネット&ワークスに業務委託した。同時に光和コンピューターの基幹システムを導入し、現在も安定的に稼働している。

来年創業100周年迎える

 同社は1919年11月1日に野口雨情が初代編集長を務め、島崎藤村と有島生馬が監修した童謡童話雑誌『金の船』(のちに『金の星』に改題)を創刊して創業。来年11月には創業100周年を迎える。

 これまでに、1970年の刊行以来156万部の『かわいそうなぞう」(つちやゆきお 文/たけべもといちろう 絵)や、1977年に刊行し239万部に達する「ガラスのうさぎ」(高木敬子 作/武部本一郎 画)といった、数々の不朽の名作をはじめとした児童書を中心に出版を続けてきた。

 近年でも、いもとようこ氏が過去の名作をいまの子どもに届けるために描いた「大人になっても忘れたくない いもどようこ名作絵本」、「大人になっても忘れたくない いもとようこ世界の名作絵本」、「いもとようこの日本むかしばなし」の各シリーズや、あきやまただし氏の「へんしんシリーズ」、鈴木まもる氏の「せんろはつづくシリーズ」といった、長く読み継がれるロングセラーが数多く登場している

一般書部門でも売れ筋を刊行

 年間の新刊刊行点数は約100点、稼働点数は800点に達する。この中で、わずかだが一般書も少しずつ増えてきている。

 直近でも9月に刊行した『“ふがいない自分”と生きる 渡辺和子」(NHK Eテレ「こころの時代~宗教・人生~」 制作班編)を初版3万部で発売し、すでに重版するなど売れ行きを伸ばしている。

 一般書分野は、1997年に刊行した『ハッピーバースデー 命かがやく瞬間」(青木和雄、吉富多美 作/加藤美紀 画)が文芸書として市場を広げたのが最初で、ここで一般向けの広告展開などのノウハウを得た。

 同書はその後文庫、コミック化され、累計154万部に達している。それ以降、母親向けのお弁当、レシピ本など実用書も刊行している。

2005年にシステムと倉庫を変更

 以前、同社ではオフコンによるシステムを利用していた。しかし、オフコンは安定してはいたが、報票の仕様を変えるなど、なにか変更を加えるたびに、時間と費用がかなりかかっていたことと、周りではパソコンを利用したシステムが増えていたこともあって、 2005年に新しいシステムへの変更を行った。

 また同じ時期に、長年利用していた倉庫会社も、小学館など一橋グループの物流を担う昭和図書が設立したばかりだった出版ネット&ワークスに変更した。

 「以前の倉庫会社はあまりシステム化できておらず、出版ネット&ワークスならパートナーとしてアドバイスしてもらえると考えました」と、同社でシステムなども担当する奥津恵市取締役営業管理部部長は述べる。

 複数のシステム会社から提案を受けたが、倉庫との連携などの強みもある光和コンピューターを選定。それまでのシステムのやり方も一部引継ぎつつ、新システムを構築した。

 「システム構築した当初は不具合なども発生しましたが、半年ぐらい光和コンピューターの担当者が、日々当社に出社するような感じで通ってくれました」と奥津取締役。

 その中で「出版社にはそれぞれ特殊な条件や管理の方法がありますが、こちらの要望を良く聞いてもらえたと思います」という。

倉庫システムと自社システムを併用

 「出版ネット&ワークスでは数年前、中小規模の出版社に対応して、同社に物流委託している出版社が自社の在庫状況をリアルタイムに確認できる在庫管理webサービス「Porta.web」を稼働させ ている。金の星社では、取次や生協などの企画で数百冊単位で受注するケースなどでは、すぐに在庫確認する必要があるため、在庫をリアルタイムで確認できる「Porta.web」を利用しながら、受注入力や取次請求など販売管理と、印税支払いなどの業務を光和コンピューターのシステムで行っている。

システムを生かして事業を展開

 他の出版社で営業を経験して1991年に入社したという奥津取締役。「当時はパソコンがようやく導入されはじめていましたが、当社も、まだ棚卸をメモ書き算盤で計算していたので、パソコンの利用を提案しました」という時代からシステムとのつきあいが始まった。

 「そうした経験を通して、「当社の出版活動はふんだんに部数を作るというより、限られた資源を実売がとれるところに配置することを目指しています。そのためにPOSデータや取次のデータなどを参照し、営業活動に生かしています」とシステムの有効性を実感している。

 来年100周年を迎える老舗の児童書出版社として、これからもシステムの有効な活用方法を探っていく考えだ。