1. HOME
  2. 事例紹介
  3. システム内容別
  4. デジタル・オンデマンド
  5. 日本教文社「世界屈指の心の思想家たちの著作が蘇る!」DOD出版センターで選集・著作集を復刊

事例紹介

Case

デジタル・オンデマンド

日本教文社
「世界屈指の心の思想家たちの著作が蘇る!」
DOD出版センターで選集・著作集を復刊

新聞記事の内容《PDF》 A4資料《PDF》

出版ERPシステム
(デジタルオンデマンド出版センター)
日本教文社様(文化通信bBB 2014/9/29 掲載)

株式会社 日本教文社

創 立 1934年
代表者 岸重人
資本金 5000万円
従業員 26人
所在地 〒107-8674
東京都港区赤坂9-6-44
電話 03-3401-9111
デジタル・オンデマンド出版センター
(光和コンピューター内)
所在地 〒101-0032
東京都千代田区岩本町3-1-2
岩本町東洋ビル
電話 03-3865-1981

 日本教文社はこのほど光和コンピューターや大日本スクリーン製造が提供する「デジタル・オンデマンド出版センター(DOD出版センター)を利用して、「フロイド選集」や「エマソン選集」などの名著を「世界屈指の心の思想家たちの著作が蘇る!」としてオンデマンド版で発売した。

第1期10点を各50冊作成

 オンデマンド版を刊行することにしたのは「エマソン選集」(全7巻)、「W・ジェイムズ著作集」(全7巻)、「カーライル選集」(全6巻)、「ユング著作集」(全5巻)。

 このうち第1期10点として8月10日に「エマソン選集」の『5 美について』と『6 代表的人間像』、「W・ジェイムズ著作集」の『1 心の心理学について』、『6 多元的宇宙』、「カーライル選集」の『2 英雄と英雄崇拝』、「フロイド選集」の『3 続精神分析入門』、『17 自らを語る』、「ユング著作集」の『1 人間のタイプ』、『4 人間の心理と宗教』の9点を発売し、10月に「カーライル選集」の『1 衣服の哲学』を刊行する。

 オンデマンド版は、活版印刷だった原本をスキャナーでPDF化して作成した。判型はDOD出版センターの標準仕様A5判とし、価格は本体2300~2900円。初回は各50冊を作った。

予想外によい反応

 発売後はほとんど宣伝などを行っていなかったのもかかわらず、「予想外によい反応でした」と同社IT戦略部・渡辺浩充部長。

 発売直後の8月にはアマゾンでの注文が多かったが、9月になるとアマゾン以外の注文が増えており、「理由はまだよくわかりませんが、中でもW・ジェイムスの売れ行きがいい」という。この結果、第2期8点の刊行も決定したという。

20年ほど品切れ状態

 今回オンデマンド版を刊行した各選集・著作集の初版刊行は、「ウィリアム・ジェイムズ著作集」が1960年、「エマソン選集」1961年、「カーライル選集」が1962年。さらに「フロイド選集」は1953年に初版が出て、1969年に改訂版、1976年に再改訂版を刊行。「ユング著作集」も1956年に初版を出し、1970年に改装版を刊行している。

 渡辺部長が入社した1986年当時はまだ全点が稼働して常備にも入っていたが、「装丁が凝っていたこともあって、その頃から既に重版は難しいといわれていました。切れてしまったら手に入らないと、すぐに全巻を買いました」と振り返る。

 その後、平成に入った頃にはほとんど品切れ重版未定になり、以来、20年以上たった現在まで稼働していたのは8点だったというが、「需要はあると思っていましたから、オンデマンドをやるならこれらのタイトルから始めるのもよいかも。ただ、品切れの期間が長くなり、だんだん忘れられつつあるので、早くやってみたいと思っていました」と渡辺部長は話す。

従来のソリューションは価格がネックに

 同社が電子出版の専門部署である電子情報課を設置したのは10年ほど前だった、同課課長に就任した渡辺部長は、前任者からオンデマンドと電子書籍を課題として引き継いだ。

 「いろいろなオンデマンドソリューションをウォッチして、できるかどうか計算していました」という渡辺部長だったが、コストがネックだった。同社は一般書を刊行してきたため、専門書のような値付けが難しい。そのため、従来のオンデマンドサービスのコストでは、価格が高くなりすぎた。

ブック・スキャナで電子化を準備

 一方で、課からIT戦略部に改組してから渡辺部長は本格的に電子化の準備を進めた。ブック・スキャナと断裁機を購入し、独自に選書・著作集9冊の電子化を進めていった。

 そんな今期初め、同社も所属する出版梓会が開いたDOD出版センターの説明会に参加、「価格がリーズナブルだった」(渡辺部長)ことなどから同センターでのオンデマンド版刊行を決めた。

 また、渡辺部長は、自社でデータを保管してオンデマンド版を提供できるスキームは、書店にも卸せるだけでなく直販もできるので、オンライン書店などに委託するプリントオンデマンド(POD)に比べて柔軟性があるというメリットも指摘する。

標準仕様で低コスト実現したDOD出版センター

 DOD出版センターは、光和コンピューター、SCREEN、メディアテクノロジージャパン、京王流通倉庫、欧文印刷、研文社の6社の共同事業として今年設立。

 SCREENが開発したロール紙に印刷するインクジェットデジタル印刷機「Truepress Jet520」などを活用し、A5判並製、カバー等付物なし、用紙、刷色数などを統一した標準仕様を設定することで、従来よりも小ロット、低コストでのPODサービスを実現する。

 出版社がウェブで発注などができるウェブプラットフォームを光和コンピューターが開発。さらに、出版倉庫の京葉流通倉庫が加わることで、商品の保管、出荷、スリップなど付物の装着が可能という印刷・製本から流通までの一貫したソリューションを提供している。