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事例紹介

Case

出版システム専門書出版

情報センター出版局
電子書籍ソリューション『YUBISASHI BOOKS』をスタート
中小出版社を想定した廉価なシステム
「旅の指さし会話帳」で築いたノウハウ提供

新聞記事の内容《PDF》 A4資料《PDF》

電子書籍ソリューション『YUBISASHI BOOKS』
株式会社情報センター出版局様文化通信bBB 2011/9/26 掲載)

株式会社 情報センター出版局

所在地 〒160-0004 東京都新宿区四谷2-1  四谷ビル
電 話 03-3358-0231
FAX 03-3358-0219
URL http://www.4jc.co.jp (全ジャンル)
http://www.yubisashi.com  (『旅の指さし会話帳』専用)

株式会社 エビデンスジャパン

所在地 〒107-0052 東京都港区赤坂4-6-3  シャトー佐和5階
電 話 03-3586-5800
FAX 03-3586-5451

制作協力 株式会社 テクノプレミア

 情報センター出版局と関連会社エビデンスジャパンは、中小出版社が低コストで電子書籍出版に取り組むために、電子書籍の制作から販売までをカバーする「YUBISASHI BOOKS(指さしブックス)」をスタートする。文字コンテンツなら制作費を10万円程度に抑え、利用者が書籍感覚で電子書籍に出会うことができる販売サイトも開設。同社では今秋のサービス開始に向けて、共同開発を行っている光和コンピューターとともに、出版社への働きかけを強めている。

「指さし会話帳」冊子は450万部、アプリは150万DL

 同社が1998年に刊行を開始した人気シリーズ「指さし会話帳」は、書籍版が127タイトル、累計発行部数450万部に達しているが、同時にニンテンドーDSや各種電子辞書のコンテンツとしても人気を集め、アプリ版もiOS版とアンドロイド版を合わせて124タイトルをリリース、無料版も含めると150万ダウンロードと人気アプリになっている。

 こうした実績の中から、同社は独自に文字ものに対応した「YUBISASHIリーダー」と音声や画像も表現できる「YUBISASHIビューア」という電子書籍ビューアを開発。このノウハウを利用して、他の出版社にも廉価な電子書籍制作ソリューションを提供する。

 「YUBISASHIリーダーは、日本語ルビ付き縦組み表示に対応し、組体裁、フォントサイズ、文字色、背景色などをカストマイズでき、電子書籍化を委託する初期制作費はアップルAppストア、アンドロイドマーケット両対応して10万円から。一方「YUBISASHIビューア」は画像表示、音声、リンクなどマルチメディア対応で、初期制作費は13万円から。リーダー・ビューアともに使用料は売価×売れ本数の10%。版元取り分6割となる。

 いずれの場合も、電子データが無くても紙版の本から電子化にも対応。また、マーケットの登録まで同社が受託、出版社によるストア型アプリもサポートする。デビデンスジャパン・関裕志チーフエグゼクティブは「リーダとビューアをコンテンツに合わせて提供します」と述べる。

カタログサイトで書店感覚を提供

 こうしたソリューションで電子化した電子書籍は、両社と光和コンピューターが共同で開設する電子書籍カタログサイト「指さしブックス」に登録する。

 同サイトは、読者の気分をキーワードにして作品を探したり、「戦後世代」「団塊世代」「新人類」「団魂ジュニア」など世代別の棚を設けるなどして、目的を持たずに書店に立ち寄る感覚で電子辞書に出会えるようにする。

「出版社が取り組まなければ読者に伝わらない」

 出版社としてこのソリューションを手がける理由について、情報センター出版局出版プロデューサー・田村隆英代表は「各電子機器メーカーがソリューションを提供していますが、出版社がリスクを負って取り組まなければ読者に伝わりません」と話す。

 リーダー・ビューアの開発は、紙の本で判型、造本、文字の大きさなど本の体裁を作ることと同様で、紙から電子へという出版の構造変化があったとしても、出版社が培ってきたノウハウを組み込むことが必要だと指摘する。

 さらに、コンテンツについても「当社の『旅の指さし会話帳』アプリは、ゲーム業者ではなくて出版社だからこそできました。編集者にはもっと自信を持って欲しい」と述べる。

 また、田村プロデューサーは、制作から流通まで出版産業全体が大きな転換期にある現在、大手出版社以上に中小出版社こそが積極果敢に電子出版に取り組むべきだと考えている。「アプリに力を入れれば、ゲームなど他のアプリと競合することになりますが、それをやっていかなければ、リアルな本の作り手の価値を高められなくなるのではないでしょうか。そうやって市場が広がればリアル本とも連携していくはずです」と語る。

 カタログサイトについて田村プロデューサーは、「我々は既存の本の読者を電子に移行させるのではなく、新しい市場を創造しようと考えています。私自身、子供の頃に書店でもらった文庫目録が本を読み始めるきっかけでした。また、新しい出会いにはコンビニエンスストアでのような立ち読みではなく、書店での新しい発見を求める立ち読みが必要です。ここからカタログサイトを考えつきました」と話す。

投資回収は半年が目途

 カタログサイトは年内にも開設予定だが、出版社に向けてソリューションへの参加呼びかけを始めている。電子書籍の投資回収について、営業を担当する同社営業部・橋本巧部長は「200ダウンロードくらいで損益分岐点を越えられると考えています。『カタログサイト』の開設により、半年で回収できる見通しを立てています。当社のコンテンツでは早いもので2カ月というものもあります」と説明している。

 当面、この事業だけによる収益はほとんど見込まず、まず電子書籍を増やすことで市場の立ち上げを目指すという。