中央公論新社
カスタマイズで幅広いジャンルに対応
出版ERPシステム
(販売・印税・購買原価管理)
中央公論新社様(文化通信bBB 2016/12/26 掲載)
㈱中央公論新社
創 業 | 1886年 |
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資本金 | 7000万円 |
代表者 | 大橋善光 |
従業員 | 147人(2016年6月現在) |
所在地 | 〒100-8152 東京都千代田区大手町1-7-1 |
中央公論新社は4年ほど前に光和コンピューターの「出版ERPシステム」を導入し、業務の省力化や紙の使用量削減などを実現したという。オフコン時代から読売新聞グループ入りなどを経ながら、現在のシステムへの移行を果たした流れを聞いた。
創業130年迎えた老舗出版社
同社の創業は1886年。2016年に創業130周年を迎えた老舗出版社だ。創業翌年には現在も発行を続ける社名誌『中央公論』を創刊した。
その後、2016年に創刊100周年を迎えた『婦人公論』を創刊。戦後は『世界の文学』『日本の文学』など全集を刊行し、1962年には教養新書を代表する「中公新書」、1973年には「中公文庫」を創刊するなど出版活動を拡大してきた。
1999年2月には読売新聞グループの基幹6社を構成する1社として、社名を中央公論新社として再スタートを切った。
技術者の定年で新システム導入
基幹システムは中央公論時代から「UNISYS」のオフコンで、自社開発システムを利用してきたが、オフコンを扱ってきた技術者が定年退職の時期を迎えることもあり、2007年に次期システムとしてクライアントサーバーシステムの導入を検討し始めた。
当初は、読売新聞グループで導入を検討していた統合会計パッケージ「OracleE-BusinessSuite(EBS)」にカスタマイズ・アドオンすることを検討したが、ほとんどがアドオンとなり、高額の費用が見込まれたことから、出版に特化したパッケージを探し、光和コンピューターの「出版ERPシステム」を導入することにした。
また、当時は読売新聞社の出版局もオフコンを利用していたが、出版局の出版業務の多くを中央公論新社に業務委託したこともあって、システムの統合を進めることになった。
しかし、この後、システム連携を想定していたEBSの導入を読売本体が見送り、「出版ERPシステム」単体での導入に変更されるといった状況の変化もあり、本稼働は2012年になった。
多くのカスタマイズが必要
「出版ERPシステム」の導入に当たっては、パッケージをかなりのカスタマイズすることが必要だったという。
「それまで光和コンピューターは専門書など書籍中心の出版社での導入実績が多く、当社のように文庫や新書、雑誌を含めた幅広いジャンルで複雑な伝票出力や受注処理が必要なケースには対応していませんでした」と、当時のシステム切り替えに携わった中央公論新社営業局営業管理部・芹澤次長は話す。
そのため、両社の間で何度にもわたる話し合いがもたれ、ヒアリングと提案を繰り返しながらシステムをカスタマイズしていった。その結果、「当初、提示されたシステムとはかなり変わった」と芹澤次長は述べる。
平行稼動を経て本稼動
導入したのは販売管理、印税計算管理、購買原価管理。2012年1月5日の初荷に合わせて稼動するため、2011年12月には旧システムと新システムを平行稼働。旧システムのデータと新システムのデータを比較したり、取次とのデータ交換を行う「出版VAN」や出版社の共同受注サイト「Book-Order.Net(ブック・オーダー・ドット・ネット、略称=BON)の伝票確認、期間を区切っての再処理などテストを繰り返した。
稼動後も修正などを重ね、「2013年頃から安定稼動している」と、現在、このシステムを担当する総務局システム統括部・矢作部長は振り返る。
省力化とデータ活用容易に
「出版ERPシステム」への移行によって、帳票類の作成・出力が以前よ容易になったという。
オフコン時代は帳票を出すにもいちいちプログラムを書かなくてはならなかったため、習熟した担当者が必要だったが、いまは必要なときにクリック一つで様々な帳票を出すことができるし、データをCSV形式で出力すれば、Excelなどで加工することも容易だ。
さらに、以前はすべてプリントしなければデータの確認ができなかったが、いまは大まかな確認作業なら画面上で済ませることができる。そのため、紙の使用量は大幅に削減されたという。
書店受注データの入力に向け追加開発
システムは編集部門以外の端末で、それぞれの権限に応じて利用できる。
また、2015年5月に、それまで江戸川橋にあった自社倉庫を廃止して、在庫の保管や出庫などの物流業務を埼玉県久喜市にある松崎興産の鷲宮倉庫に委託しており、ここにも「出版ERPシステム」の端末を2台配置している。
2017年春に向けては、書店受注のデータ入力を可能にするための追加開発を行っている。これまでは手書きの注文短冊で処理を行っていたが、データ化することで、短冊への記入・集計などが不要になり、書店受注業務の省力化・スピードアップに加え、書店からの納品の問合せにもより正確に回答できるようになると見ている。