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事例紹介

Case

出版システム検定教科書出版

新興出版社啓林館
教科書、準拠物など多様な商材をシステムで管理

新聞記事の内容《PDF》 A4資料《PDF》

出版ERPシステム
(出版社・書店システムガイド特集)
新振興出版社啓林館 様(文化通信bBB 2012/1/16 掲載)

新興出版社啓林館

大阪本社所在地 〒543-0052  大阪市天王寺区大道4-3-25
資本金 1億円
役 員 代表取締役会長 曽川敏彦
代表取締役社長 佐藤徹哉
代表取締役 原野圭司
社員数 250名

 新興出版社啓林館は、教科書の発行とともに、各社の教科書に対応した準拠物、学校採用品、児童書など多様な出版活動を行っており、それぞれの商品特性に応じた管理が必要となる。3年前に光和コンピューターのシステムを導入し、こうした管理を実現しているという。

教科書、採用品、準拠物、児童書などを発行

 同社は大阪本社のほか、札幌支社、東京支社、東海支社、九州支社、広島営業所と全国6拠点で事業を展開。刊行物は小中学校の義務教育教科書から、高校教科書、教科書に準拠した教科書ガイド(準拠物)、学校採用の問題集・ドリル、さらには児童書まで幅広く手がけている。

 これらの商品は、それぞれの流通・販売方法によって商品管理の方法も異なる。教科書の場合は、年1回の刊行だが、供給義務を負って期日までに正確な部数を生徒に「供給」しなければならない。一方、書店ルートで販売する準拠物や児童書は、売れ行きを見込んで送る「配本」となる。

商品管理・物流は協力会社4社に委託

 このため同社では、商品管理と物流をそれぞれの分野に応じて、学校採用品は大阪、準拠物は富山、児童書は岐阜の協力会社に業務委託し、教科書は取次の大阪屋に任せている。

 これら本社6拠点と協力会社各社とが連携を取ることも、同社が導入するシステムに求められる要素だ。

市販パッケージから出版専用システムに移行

 今回のシステム導入を自ら提案して推進した東京企画部の部長を務める東京本部・曽川誉章副部長は、「以前はオフコンのシステム、その後、市販パッケージをカストマイズして5年ほど使っていましたが、うまくデータを吐き出すことが出来ず、専用フォーマットの帳票を出力する必要があったり、使い勝手が悪いものでした」とシステム導入の背景を説明する。また、当時は各業務をこなすために複数のサブシステムを作っており、それぞれのマスタが統合されていなかったことから、事故が多発していたともいう。

 費用面でも、「旧システムはシステム会社から派遣社員がメンテナンスしていましたが、これは明らかに高コストでした。こうしたことがとても気になって新システムの導入を提案しました」と曽川副本部長。資金調達からコスト回収の見通しまで作成し、役員会で説明し、了解を取り付けたいという。

出版の常識通じたことが決め手に

 5~6社からシステム提案を受け、この中から光和コンピューターを選択した。「導入コストも魅力的でしたが、決め手は出版のシステムに特化しているところでした」と曽川副本部長は述べる。「そもそも当社の商品全てに対応できるシステムはありません。せめて出版社を知っていて、出版人としての常識的なことをいちいち説明する必要がないことでストレスが軽減されました」という。

 また、提案型の企業であることも選定の理由になった。「『出来ません』『やってください』『ではいくらです』というやり取りはしんどい。光和コンピューターとはそのようなやり取りがなく、提案も的を射ていました」と曽川副部長。

準拠物の「台帳」システム

 実際に同社の業務は複雑だ。準拠物をとっても、通常の出版物とは全く違う管理が要求される。

 同社の準拠物は他の教科書会社が発行する教科書を網羅するため、100点ほどのシリーズが4~5シリーズある。書店に送品するには、その書店に来店する生徒が通う学校が採択した教科書の準拠物を、生徒の数だけ送る必要がある。しかも、書店によって複数回に分けて送ったり、本部が統轄していたりと、「無限のカスタマイズ」(曽川本部長)になるという。

 これを処理するために、何をどの書店に送るのか「台帳」を作成し、これを物流会社に提供する必要がある。この「台帳」システムの精度が高くなければ複雑な作業をこなせない。

 特に、同社はかって約560人いた社員が250人に減っている。このため1人当たりの作業負担が以前に比べて増えており、システムで補う必要があった。「システム導入から3年たちますが、今考えるとあのときが最後のチャンスだったと思います」と曽川副本部長は振り返る。

 新システムに移行したことで、システム会社からの派遣で2.5人かかっていたメンテナンスは同社社員1人に削減できた。現在システム管理を担当する生産物流部・佐藤弘人次長は「専門知識を持たない我々でメンテナンスできます」と話す。

 一方、曽川副本部長はシステム移行によるもうひとつの効果として、業務改善をあげる。「仕事の仕組みを変えるには、システムの変更しかありません。便利なツールを活用して、仕事のウエイトを移すことができれば、仕事の能率は上がります」という考えだ。

 また、厳しい時代を迎える中で「こういう時代にはちょっとしたミスが命取りになるので、システムの質が重要になると思います」と指摘する曽川副本部長。 これからも、市場環境の変化など、将来を見据えてシステムを進化させていく考えだ。