税務研究会
直販誌やセミナーなどの顧客データを統合しCRM
「強力なリーダーシップ」で実現
出版ERPシステム
株式会社 税務研究会 様 (文化通信bBB 2010/5/31 掲載)
株式会社 税務研究会
設 立 | 1947年(昭和22)年 創 立:昭和29年5月8日 |
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代表者 | 代表取締役社長 藤原紘一 |
資本金 | 5400万円 |
業務内容 | 税務、経理、会計等の実務情報サービスとして、 定期刊行物、書籍、電子メディア、 データベースサービスなどを展開 |
従業員数 | 163人(2009年9月現在) |
本 社 | 東京 |
支 局 | 札幌、仙台、さいたま、横浜、名古屋、大阪、広島、福岡 |
売上高 | 51億5000万円(2009年3月期実績) |
URL | http://www.zeiken.co.jp/index.html |
税金の実務情報を提供する税務研究会は、週刊誌、月刊誌を直接購読者に送る会員制度の事業と、書籍の刊行、そしてセミナー事業などを手掛けているが、5年前に各事業の顧客データベースを統合し、単に雑誌を送るためだけの顧客データから、次の営業活動に活用できるデータベースを整備した。
雑誌は会員制、書籍も直販6割
同社は1947年に創業し、法人の経理担当者や税理士、会計士など職業会計人を対象に、税の実務情報誌『税務通信』をはじめとして、週刊誌2誌、月刊誌3誌を発行している。また、このほか、書籍を年間約90点刊行し、セミナー事業も行っている。
雑誌はすべて年間定期購読の会員制度をとっており、単品での販売は原則として行わない。書籍は直接販売が6割で残りの4割を取次・書店ルートで販売している。
年商は51億5000万円(2009年3月期実績)だが、このうち85%が会員制度による事業、残り15%が書籍売り上げ。ただ、書籍の売り上げ比率は低いものの、高額商品が多く、税制の改正などがあると一気に膨らむという。
直販と取次ルートのデータを連携
定期購読者やセミナーへの参加者、書籍購入者といった会員は、現在約15万人に達しており、これは日立のクライアントサーバーシステムで管理している。
そして書籍の販売管理には光和コンピューターのクライアントサーバーシステムを活用し、両方のデータを連携している。
書籍などの在庫管理は外部の出版流通倉庫業者に委託しているが、ネットワークで結んでいるため、ほぼリアルタイムで在庫管理ができている。取次からの受注と、法人や個人からの直接注文を倉庫に送り、倉庫では取次への納品と、直販については宛名別に梱包して発送する体制を整えている。
5年前にシステムを統合
データベースは、雑誌の講読、セミナーへの参加、書籍の購買履歴などが顧客情報に付加されており、年度版などの営業や、セミナーの案内に利用できるようになっている。しかし、5年前までは雑誌の購読者やセミナーの受講者など、データベースはそれぞれ独自に管理されていた。
各システムの統一を行った理由について、同社システム企画部・大澤健兒部長は「当社のコンピューターの導入は30年ほど前と早かったので、データは持っていました。ただ、各事業でバラバラに管理していたので、5年前、CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネージメント)に活用することを目指してデータベースを統合しました」と説明する。
個人顧客をキーに
それ以前の顧客データは、雑誌を送ることだけを目的に作られていたが、情報を次の営業に活かすためには、個人単位で過去の購買行動を管理しなければならない。個人を基本にするデータベースの構造と、法人や部署単位で管理していたそれまでのデータを統合する必要があった。
数十年間にわたって、それぞれの目的に応じて蓄積されたデータを統合する作業は、まず各直販雑誌のデータ、次いでセミナー、最後に書籍と数十年間かけて段階的にシステムを統合した。
トップダウンで改革
現在6世代目となるシステム改革の魁は、創業家2代目の藤原紘一社長直属の経営管理室だった。当時、大澤部長も同室の責任者を務めていた。「システムはシンプルにしなければなりませんが、それまでの仕事のやり方を変えようとすると、現場はまず間違えなく反対します。そして、従来のやり方を維持しようとする要望が寄せられますが、長期的な展望と、現場の要求との調整が大変でした」と振り返る。
その場合大切だったのは「強力なリーダーシップ」と大澤部長はいう。「現場の意見を無視するわけではありませんが、イレギラーな処理を極力入れないようにしなければなりません。揉めると責任者である私が調整し、最後はトップが仕切りました」。
システム統合で業務の見直しも
システム統合は、業務の見直しも伴った。同社は国税局が置かれている地域に営業所を置いているが、ネッオワーク環境が整備されたため、それまで各営業所にあった事務部門を本社に集約した。また、それまで残高が合わないなど、しっかり管理できていなかった取次各社との取引関係も、これに合わせて整理した。
大澤部長は「システムは先々変わっていくし、変更には大きなコストがかかるので、長期的な視点が大切です」とシステム変更のポイントを強調する。