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事例紹介

Case

出版システム専門書出版

静山社
文庫創刊に伴って販管システム導入
販売データをみて納返品のコントロール目指す

新聞記事の内容《PDF》 A4資料《PDF》

出版ERPシステム《ERP販売管理》
株式会社 静山社 様 (文化通信bBB 2009/11/16 掲載)

株式会社 静山社

所在地 東京都千代田区九段北1-15-15 瑞鳥ビル5F
電 話 03-5210-7221
資本金 1000万円
代表者 松岡佑子 木村康子
従業員 6人

 静山社は文庫創刊に伴って光和コンピューターの販売管理システムを導入した。『ハリー・ポッター』のみを刊行してきた同社も、文庫や単行本の刊行に着手することで、配本、需要予測、入出庫、請求精算などこれまで以上に細かい販売施策が必要になるからだ。

『ハリー・ポッター』ではシステム不要

 同社は今年、創業30周年、そして『ハリー・ポッター』刊行10周年を迎える。この10年はほぼ『ハリー・ポッター』の刊行に集中しており、普及版を含めても1年に新刊は1点だった。

 しかも4巻以降は買切条件ということもあって、「取次からアドバイスを頂きながら、注文に応じて重版すれば良く、在庫管理もEXCELで十分対応できていた」と工藤義之取締役営業部長はシステムが必要なかった理由を話す。

 その『ハリー・ポッター』も2008年に第7巻を刊行して完結。同社は今後の事業の基盤とすべく静山社文庫を今月10月6日に8点で創刊、11月4日に第2回配本8点を発売。12月からは毎月4点を刊行する。さらに単行本の刊行も開始した。

年間80点刊行で管理が必要に

 かって講談社で文庫・単行本の販売を長年手がけてきた工藤取締役は、文庫と単行本の販売、在庫管理がはじまることで、「文庫が年間約60点、単行本も20点出す。おそらく1人では処理しきれない。その人件費を考えれば、初期コストはかかるがシステムを導入したほうが先々の負担は少ない」と考えシステム導入を決めた。

 光和コンピューターのシステムを選んだ理由は「同社の友野(雅志専務)さんとは20年来の付き合いがあり、その信頼関係が大きかった」と述べる。

帳票画面をカストマイズ

 導入したのは「販売管理システム」だが、いくつかカストマイズを行った。

 そのひとつは重版のための需要予測などを行う「商品販売履歴画面」だ。累計製造数、売上部数、返品数、贈呈数など、付き物も含めて過去4年分のすべての出入りを一覧にし、最寄り3年分については月次で確認できる。「この一覧で、6ヶ月経過後の通常重版をきめることができる」(工藤取締役)という帳票だ。

 また、発売直後の緊急重版のためにはTTCネットワークを使って、毎日、日計データを確認している。日計調査は主要書店50軒をみているが、実績が出るまではこの50軒の文庫販売シェアを約く13%と推定し、これをもとに重版を判断する。ちなみに刊行ラインナップ8点のうち3週間目で3点を重版した。

 もうひとつのカストマイズは「商品別販売会社成績表」。これはシリーズ別、単品別に各取次会社の実売・返品シェアを一覧にできる。「送・返品の偏在を防ぐために使っている」(工藤取締役)という。

買切は大村紙業、委託は河出興産

 入出庫・在庫管理など物流業務は、買切条件の商品は大村紙業、委託条件の商品は河出興産にそれぞれ委託している。これは、買切品と委託品の返品が混在しないようにするためだ。さらに、不良品の交換用に印刷会社にも若干の在庫を置いている。

 導入したシステムは、大村紙業と河出興産とはオンラインでデータ交換しているため、日次で全在庫の所在、状態を確認することができる。

 注文短冊や一覧表については河出興産で入力代行も行っている。いまは文庫創刊直後のため、すべての注文を工藤取締役が確認し、慎重に出庫指示をしているが、将来的にはこの作業もシステム化する計画だという。

文庫の動きは「まずまず」

 文庫の動き自体について工藤取締役は「文庫創刊後に、都内の書店50軒ぐらいを訪問しているが、書店はすごく良く陳列してくれている」と述べ、今年後半に入って文庫市場も冷え込んでいる中では「まずまず」(工藤取締役)の反応だという。