地球丸
出版社経営にシステムはますます重要に
販売管理システムを導入
出版ERPシステム《ERP販売管理》
株式会社 地球丸 様 (文化通信bBB 2009/11/30 掲載)
株式会社 地球丸
所在地 | 東京都港区新橋6-14-15 |
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電 話 | 03-3432-7900(代表) 03-3432-7901(営業部) |
FAX | 03-3432-8242(営業部) |
設 立 | 1985年6月11日 |
資本金 | 3,200万円 |
代表取締役 | 菅井 大作 |
アウトドア関係の雑誌・書籍を刊行している地球丸は、このほど光和コンピューターの販売管理システムを導入したが、菅井大作社長は、これからの時代は出版社の経営にとって、ますますシステムの重要性が増すとみている。
経緯
同社は1985年に山と渓谷社で数々のヒット作を手がけた菅井康司会長が編集プロダクションとして創業。当初は山と渓谷社の出版物の編集に携わったが、1995年に取次口座を取得して出版社として事業を開始した。
サポート終了で新システム導入
1996年に刊行した『夢の丸太小屋に暮らす』(臨月刊)をはじめとして、『ロッドアンドリール』(月刊)、『フライロッダーズ』(隔月刊)、『ソルトウォーター』(月刊)といった釣り関連、自然な生活を提案する『天然生活』(月刊)の5誌と、アウトドアや釣り、料理関連の書籍、ムックを年間60~70点刊行している。最近では車中泊の専門誌『CarNeru(カーネル)』を不定期刊で刊行して注目を集めている。
販売管理システムは、Windows95時代に導入したパッケージソフトを利用してきたが、様々なカスタマイズを加えていたために、パソコンを更新するためにはソフト改編に高額の費用が発生することになり、「これまでWindows95のパソコンを使い続けてきました」と営業部販売促進・庶務課長の轟省吾氏は話す。
そのパッケージソフトのサポートが終了することになり、2007年はじめから新システムへの移行を検討し始めたという。
取次と直販を導入
システムの選定に当っては複数の業者から話を聞いたが、既に7年ほど前から光和コンピューターの広告管理システムを使用してきたことと、「価格と担当者だった寺川光男専務の熱意」(轟課長)で同社システムの導入を決めた。
導入したのは取次への納・返品、請求管理、在庫管理といった取次システムと直販システム。これは、同社が書店ルートのほか、直販ルートでも書籍・雑誌を販売しているためだ。
同社が求める仕様と近いモデルをもとにシステムを設計したが、「今まであった機能はそのままで、さらに作業を省力化する」(轟課長)ことが求められたことから、かなりのカストマイズが必要だった。そのため、光和側がシステムの利用方法を調査して形にする作業を中心に、約3ヶ月間にわたって毎週1、2回の3~4時間にわたる打ち合わせを行ったという。
また、システム導入に当っても、従来使っていた社内の商品コードを新たな体系に切り替えたため、売り上げや残高にきちんと反映されているか、などの作業に手間をかけた。
倉庫とのデータ連動容易に
新システムを導入したことで、倉庫の在庫・売り上げ管理が容易になった。同社は在庫管理と入出庫を東京出版美装に委託しており、本社で受けた注文はFAXで倉庫に送って入力しているが、これまでは1日1回、電話回線でデータ交換を行っていたため、締めの時期になると15分程度回線を占領し、修正などもいちいち時間がかかっていた。
システム導入に合わせて、東京出版美装にも端末を置いて、同じシステムで入力するようになったので、データのタイムラグがなくなり、作業時間も大幅に短縮することができたという。
今年3月に社長に就任した菅井社長は7年前に入社するまで電気や自動車関連の仕事を行った経験から、システム導入に当って「この業界は伝票などが各社バラバラでしたが、電機業界などではどの会社から来る伝票も同じでした。そういう標準化が進めば、今よりも手間が減るだろう」と感じている。
経営のためデータ加工重要に
営業部は内勤も含めて5人。システムでの入力などはそのうち1人が担当しており、「得意先別や単品別の実績の確認は定期的に行っています」(轟課長)。また、広告システムと販売システムのデータを合わせることで、単品ごとに粗利益を確認することも容易になった。
菅井社長は「売り上げを作るために無理に新刊を出すことは行わない」と考えており、こうしたシステムの機能強化は経営面からみても必要なことだという。
同社はこれまで毎年、書籍・ムックの新刊を60~70点刊行してきたが、今年は49点に絞っている。 「リーマンショック以降、店頭は大変なので供給過剰になっています。今は売り上げを追い求める時期ではありません」という考えからだ。
同社の売上高は2007年(第22期)が15億160万円、翌年は13億8000万円、そして前期は12億8000万円と下降傾向にあるが、あえて刊行点数を絞って、しっかりと利益を確保しようという経営方針の表れだ。「当社は趣味の本を作っていますから、編集者にも遊び心が大切です。今は商品をたくさん出しても社員が幸せになれません」と菅井社長はいう。
そのために、「日々、会社の状況を把握することが大切」(菅井社長)であり、そのための資料作りのためにもシステムの使い勝手は重要になっている。