公職研
取次請求システム導入で作業軽減
導入コストや倉庫との連動がポイントに
出版ERPシステム 「取次請求システム」
株式会社 公職研 様 (文化通信bBB 2010/8/30 掲載)
株式会社 公職研
所在地 | 〒101-0051 東京都千代田区神田神保町二丁目20番地 |
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電 話 | 03-3230-3701(代表) |
設 立 | 1967年(前身は全国自治研修協会) |
資本金 | 1000万円 |
代表取締役 | 大田昭一 |
地方公務員向けの専門雑誌や書籍を販売している公職研は、今年4月に光和コンピューターの「取次請求システム」を導入した。社員14人という比較的小規模な専門出版社のシステム導入だが、現場の労力は相当に軽減されたようだ。
地方自治専門で43年間
同社は1967年に地方自治体の人事・研修担当向けの月刊誌『地方自治職員研修』を創刊して以来、地方公務員向けの専門出版社として活動を続けてきた。現在このほかに、同誌の臨時増刊号を年3回発行しているのをはじめとして、書籍は地方公務員の昇任・昇格試験対策や、地方公務員採用試験の論文対策の問題集や解説書など毎年5~6点の新刊を発行、稼動点数は約50点になる。
売り上げは定期購読と取次経由でほぼ半々。取次経由は一部、行政機関への直接販売もあるが大半が書店ルート。取り扱っている書店は地方自治のコーナーを持つ大型書店が中心になるが、6~7割が外商だ。
システム導入で属人的な仕事を効率化
経営の柱でもある月刊誌の定期購読システムは以前から導入していたが、書籍の請求業務などはシステム化していなかったという。
「今回システムを導入するまでには手作業だったため、その時々で担当者が工夫して作業していても、それが効率的なのかどうかわかりませんでした。また、担当者が交代したり辞めてしまうと、また一からはじめる状態になっていました」と大田昭一社長はいう。
こうした属人的になっていた請求業務を効率化し、「営業部といいながら、本来の営業業務に手が回りませんでした」(大田社長)という状況を改善することが、システム導入の狙いだった。
既存の機器の活用が決め手
導入を検討し始めた昨年11~12月から、複数のシステムを比較検討した。その結果、決め手になったことの一つは、「既存のパソコンやプリンターをそのまま利用できたことでした」を営業部・瀧澤玲奈さんは話す。
そもそも購入した取次請求システムは、多くの出版社で共通した業務のため、既存のパッケージをほとんどカストマイズせずに利用できる。そういう意味で、各社のシステムにそれほど大きな違いはない。そこで差になるのは、やはり導入コストになる。
「最も高額なものと低額のもので3倍程度の開きがありましたが、システムのコストが安くても、話を聞いていくうちにオプションが必要だったり、システムに合わせてパソコンやプリンターを新規に購入しなければならないというケースもありました」(大田社長)。
同社は営業部門のパソコン2台のうち1台を新調したばかりだったこともあり、最初の見積もりも価格のブレがなく、既存の環境のままで導入できた光和コンピューターに決めた。「システムは長いおつきあいになりますから、やはり親身になってくれそうだという信頼感は大きいですね」と大田社長。
倉庫のデータ取り込みも可能に
また、ちょうどシステム導入と合わせて、物流を委託する倉庫業者も変更したことも、このシステムを選んだ理由になった。
それまでの倉庫業者は、入出庫などのやり取りは紙の伝票だったため、手作業で転記して請求書を発行するために月中から集計作業を始める必要があった。
しかも「EXCELで作成していたので入力間違いや、関数が抜けていたなど人的なミスもあり、請求書の間違いを取次から指摘されることがたびたびありました」(瀧澤さん)という。
「費用が同じぐらいで、日常の出し入れのデータをもらって請求業務に利用できるなら」(大田社長)という狙いで新しく取引を始めた出版倉庫業者のワタナべ流通は、これまでにも光和コンピューターのシステムとのデータ交換で実績があった。
システム化で現場の不安を解消
システム導入後の現在は、日々の入出庫データをワタナべ流通のウェブサイトからダウンロードして、そのまま請求システムに取り込むことが可能になった。また、このことで倉庫との間の在庫数にズレが生じることもなくなった。
何より「伝票をシステムの数値と照合すれば、信用できる数値で検算できるので、それまで請求書を出すたびに感じていた不安が解消できました」(瀧澤さん)という現場の悩みを解消できたことが大きいようだ。
サポート体制も評価
システムは導入してもいろいろと修正が必要になるが、日々このシステムを使っている瀧澤さんは、「一通りイレギュラーなケースも調整できて、だいぶ安定してきました。問題が発生してもサポートがしっかりしていましたから、請求が遅れるといった自体はありませんでした」と話す。
規模がそれほど大きくない出版社がシステムを導入する場合は、費用対効果はもちろんのこと、機器を配置する場所や、操作する人材などの問題も大きい。
今後のシステム化について大田社長は「同じ使い勝手なら費用を抑えたいという気持ちは当然ある。今回はまだほんの一部の導入なので、今後も慎重に考えて進めたい」と話している。