くろしお出版
基幹システムとの連動でさらなる作業の合理化も
「ブックメール倶楽部」等と連動するプラットフォームに
出版ERPシステム《基幹システム連動》
株式会社 くろしお出版 様 (文化通信bBB 2009/1/26 掲載)
株式会社 くろしお出版
代表者 | さんどゆみこ |
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設 立 | 1948年 |
電 話 | 03-5684-3389 |
所在地 | 東京都文京区本郷3-21-10 浅沼第二ビル6F |
語学系出版のくろしお出版は、08年の決算月だった8月に光和コンピューターの基幹システムを稼動。学会での直接販売などが容易になったほか、同社が参加している出版社の共同サイト「ブックメール倶楽部」とデータ連動も実現している。
学会の直接管理が多様に
くろしお出版は1948年に創業した書籍出版社で、学術専門書を8割と日本語教材テキストを2割の割合で、合わせて年間30~40点の新刊を刊行している。
取次を通じた新刊配本や常備委託は行わず、基本的に書店には注文をとって注文扱いで出荷する。ただし、300~400店ある取り扱い書店のうち、常時同社の書籍を置いている170書店に対しては、新刊を見計らいで送る。このため、返品率は採用品を入れて20%以内にとどまっているという。
また、専門書は学会などでの直接販売が多く、語学テキストは書店ルートがかなりの割合を占めているという特徴もある。
従来使っていたシステムでは、直接の管理に多様性がなく、どの学会で販売してもすべて「直扱い」で管理するしかなかった。しかし、今回導入した販売管理システムは、同社の要望に応じてカスタマイズされ、学会ごとにコードを振って、それぞれの学会にどれだけ販売したかを管理できるようになった。
また、学会によって違う特別価格を設定することもできるようになり、校費用の伝票もそのまま出力できる。今までCSVファイルにおとしたものをExcelに読み込んで納品伝票を出力していたのに比べると、大幅に作業が省力化されたという。
ブックメール倶楽部との連携も
今回、光和コンピューターのシステムを選んだ理由を、同社・岡野秀夫副社長は「問題点を洗い出して提案してくれた。そして半年以上話し合いを重ねて、臨機応変にカストマイズしてもらえた」と話す。稼動した現在でも、不具合の手直しや使い勝手の向上につながる細かい修正は続けられているという。
そして最近、可能になったのが「ブックメール倶楽部」とのデータ連携だ。基幹システムで新刊・近刊情報を入力すると、自動的に「ブックメール倶楽部」のマスタに登録される。
▼くろしお出版のWeb
▼ブックメール倶楽部のWeb
一カ所への登録でWeb、取次、TRCなど更新
「ブックメール倶楽部」は言語学書出版社12社が幹事社を努める言語学出版フォーラムが中心になって2005年に立ち上げたWebで、加盟出版社32社が、近刊、新刊、既刊書を登録した商品マスターを公開している。
このサイトでは、一般読者や書店が加盟出版社の書籍を検索できるほか、登録された書誌情報を、日本出版インフラセンターの商品基本情報センターや、日本出版販売、大阪屋、図書館流通センター、紀伊國屋書店、丸善など各所に、解説や詳細なども付加してそれぞれ必要な情報を提供することもできる。
また、書店向けのサイトも用意しており、書店が単品を検索して発注できるほか、出荷条件や重版情報なども提供。言語学出版フォーラムで選定した言語学の基本図書を一括発注する機能もある。「専門出版社が選定したものを、書店が簡単に引き出して注文できるプラットフォームが必要だと考えた」(岡野副社長)からだ。
これまでも、くろしお出版では、「ブックメール倶楽部」の書籍データベースと自社Webのデータを連動しており、ここ一カ所でデータを登録すれば、自社Webはもちろん、取次、書店などにもデータ登録できるようになっていた。
そこに、今回、基幹システムを組み合わせることで、日常的な登録業務を行うことで、各所のデータベースを更新できるようになった。
存在知らせるための効率化図る
「出版社にとって大切なのは、刊行した本の情報をくまなく出して行くことです。新聞広告などをそんなに出せない小規模出版社の場合、自社サイトはもちろん刊行情報の露出が可能なサイトへ貧欲に情報発信をしなければ、存在を知らせることすら難しい」と岡野副社長は話す。
少ない人手でもデータのメンテナンスを行うことができるようにすることは、「少ない社員がみんな忙しい中で、なるべく時間をとられずに更新できる必要がある」と岡野副社長。そのためのプラットフォームとして構想しているのが「ブックメール倶楽部」であり、基幹システムとの連動によって、「さらに作業が合理化できる」とみている。